1人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
瑠璃はいたたまれなくなり、
翌日また話しかけることにした。
翌日の朝 瑠璃はまた穴を覗き込んだ。
彼女は読書をしていた。
瑠璃は また怒らやしないか迷ったが話しかけた。
「おはよう。昨日は、ごめんなさい」
・・・・・・
「ねぇ、あの…」
彼女は 暫く無視していたが、瑠璃のしつこい話しかけに 答えることにしたようだ。
「私の名前は…瑠璃よ」
「え!?お、同じ名前…」
瑠璃は少し驚いたが、
「私は囚人。殺人の罪で服役中。歳は30。穴のことは知らないし分からないし、あなたが何故いるのかわからない。穴の向こうには囚人がいないから。そこは窓際なのよ。だから人がいるはずない。」
彼女は話を続けた
「私は昨日びっくりして暴れてしまったの。あなたが亡霊なんじゃないかって思ってね。昨日はごめんなさい。取り乱し過ぎたわね…」
昨日の彼女とは別人のようだ。
「どうして殺人を?」
瑠璃は恐る恐る聞いた。
「…分からない。気が付いたら…色々失敗の繰り返しで生きることにむしゃくしゃしててね…今は後悔してる」
「誰を殺したの?」
「…どうして知りたいの?」
「ごめんなさい。好奇心というか、何と言うか…」
彼女は、壁に背をもたれ悲しい目をしていた
「友人よ…大切な友人をね…」
瑠璃は彼女を眺めて気付き始めた
彼女は、私に似ている…
老け込んでるし顔も腫れてるけど、私に似ているような…
「瑠璃さんて、私に似ている」
「え?」
彼女は穴に近付け お互いの顔を見つめた。
確かに似ている
声も 話し方も
まさか… !?
二人は少しずつ解り始めた
これは未来(過去)の私だ!
でも待って、人違いなのかもしれない…
「321で生年月日血液型苗字と母親の名前を言いましょう?」
瑠璃が言った
「わかった」彼女は頷いた
最初のコメントを投稿しよう!