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けっきょく、昨日は寝付けなかった……。同じ屋根の下に、正体不明の女の子がいると思うと、気になって眠れなかったからだ。
重い瞼をこすり、ベッドから起き上がる。時刻は8時半……。いつもの起床時間だ。僕は手早くパジャマから私服に着替えると、洗面所に向かった。
……あれ?
洗面所へ向かう途中、トイレの前を通りかかった時に、ふとトイレの電気がついていることに気付いた。
昨日、消し忘れたかな……?
一瞬、消そうと思ったが、ついでにトイレに行っておこうと思い、扉を開ける。
「………っ!?」
「……すぅ……すぅ……」
中には先客がいた……。桐原結菜さん……昨日、しかたなく泊めてあげた女の子……。その結菜さんが便器に座り、静かな寝息をたてていた。下着まで脱いでいて、下半身は産まれたままの姿……。
マズイと思った次の瞬間には、無意識に扉をしめていた。心臓がドクドク、大きく脈打っているのがわかる。すぐに洗面所に駆け込み、鏡の前に立つと、耳の先まで真っ赤になっていた。そんな顔を冷やすように、顔を水で大げさに洗う。しかし、そんな行為は全く意味をなさず、脳裏に浮かぶのはさっきの光景……。カァーっと顔が火照っていくのがわかった。
「……おふぁよぉ………」
しばらくリビングで、苦しんでいると、結菜さんが入ってきた。寝癖のついたロングヘアーにだらしなく少しずり落ちているパジャマ。いかにも、今起きましたと言った感じだ。ちなみにパジャマは母親のモノを使ってもらっている。
「ねぇ、聞いてよ。夜におトイレに行ったんだけど、なんだか、そのまま寝ちゃったみたいで、起きたらトイレの中だったんだよぉ~」
寝起きなせいか、少し舌足らずな口調であった。
「あれ? どうしたの…? そんなに顔赤くして……」
あなたのせいです…。
「もしかして……見ちゃった?」
「!?!?!?!?!?」
ボンッと頭から蒸気が上がった気がした。
「なるほど~、じゃあ布団かけてくれたのは真也だったのかぁ~。納得」
そう……。あのままじゃ風邪、ひきそうだったから……。再び、トイレに入ってなるべく見ないようにして布団かけたのだ。
「……ゴメンナサイ」
「あり? 何で謝るの?……はてな?」
からかってるのか? 怒られる理由なんて1つしかない。
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