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王子は戦煙渦巻くこの戦場で、父の姿を見つけ直ぐ様駆け寄ろうするが、騎士団長に止められてしまった。
「王子!あれをご覧ください……陛下は只今戦っておられます……このまま駆け寄れば王子の身が危険でこざいます……」
優しい眼差し、口調で王子と接する。
「……わかった」
その騎士団長の気持ちが伝わったらしく、少し離れた所から父を見守る事に……。
その時には残酷な光景を目のあたりにしなくてはならないなんて思いもせず……。
騎士団長が言っていた戦ってるという事は相手がいるという事。
戦争には必ず相手がいるもの……。
もし相手がいなければ戦争が起きないだろうにと王子は胸中考えていた。
さて王と戦っているのはだが黒きローブを頭からスッポリ被った……魔導士といったところだろう……。
魔導士は魔法を詠唱している……。
王子の所からでははっきり確認できないが、詠唱中に王が攻撃を仕掛け……それをかわし……魔法を唱える。
そしてそれをかわし……また詠唱を始め……っといった戦いが永遠に続く……
王子の額に大量の汗が溢れる。
(このままでは……父が……)
王子にはわかっていた……王の方が押されているという事に……。
やがて王は倒れる。
何が起きたのか視界が悪く確認できなかったが、黒き影が王を襲ったという事だけは何とか王子の目に映った。
「父上ー!!」
と叫ぶ。
直ぐ様、駆け寄ろうとするが……
「王子!いけません!」
と騎士団長に止められる。
先程は優しい眼差し、口調だったが今は違った……。
鋭い眼差し、キツイ口調に王子は驚く……初めて見る彼の姿なのだから。
「一旦、退きますよ」
「でも父上が……」
王子の眼に大粒の涙が溢れる。
「貴方が殺られたら終わりです!ここは耐えてください!!」
と怒鳴る。
「……わかった」
冷静差を少し戻したのか……退く事を承知した……。
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