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アァァアァ…アアア!!
その奇女は再び奇声を上げながら姿を見せた。廊下をゆっくりと歩いていたが、教室の入口の前でその足を止めた。彼女は一体何なのか…疑義は募るばかりだった。つーか誰だよ。見回りのお姉さん…
「ではないだろ」
と透かさず海斗が静かに口を…いや考えを挟んだ。
「ほら、奇女が入ってきたぞ…」
海斗に言われて教室の入口を見ると、奇女はもう教室内に侵入し、ゆっくりと移動していた。
アァァアァ…アァァッア!
「何を呻いているんだか…」
俺がそう呟くと奇女は更に呻き声を上げた。
アァアァ!アァア!!
アァア゛アァァァ…に゛ゃっ!!
「(に゛ゃっ!??)」
猫かっ!と叫ぶわけにもいかないので俺はギリギリ台詞を噛み殺した。
「おい航樹…奇女が出ていくぞ…」
奇女は相変わらず奇声を発していたがフラフラと教室から出ていった。結局何なのか解らなかったが…まぁ良いか…。
「よし…今の内に帰るぞ海斗!」
俺達は教卓から飛び出し、急ぎ足で教室から出て、奇女がいないことを確認し、再び廊下を駆け抜け、一気に階段を駆け下り、玄関へ辿り着いた。
「はぁ…はぁ…もう…大丈夫だろ…」
と息を切らしながら海斗。
「あぁ…多分な…」
革靴に履き替え、校門前の広場に出た俺達は広場に立つ警備員さんを見つけた。いや、見つけられた。
「君達…こんな時間まで何をしていたんだ?」
「あ…いやちょっと…」
「おままごとですよ」
と海斗。ちょ…幼稚くないですか?
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