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結局トウコは黄身の半分を
皿の端にほろりと残したまま
つぶつぶの苺ジャムを
見たこともないくらいに
薄く塗ったトーストを2口かじり
静かに朝食を終えたのだった。
目の隅でそれを観察しながら
わたしとトウコの秩序が
トウコの残した黄身のように
ほろほろと崩れていくのを感じた。
ゆでたまごを1つと
トーストを半分ずつ
ジャムはつぶつぶの苺
もう何年も繰り返された
ふたりの平和な朝のメニューが
乱されはじめている。
なにかによって。
何者かによって。
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