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「何も」
「何も?」
教師はかすかに笑うと
わたしの教科書を指先で叩き
堅そうに尖った教師の革靴を
カツカツ鳴らしながら
教壇へ戻っていった。
たいした人間でもないくせに
妙なオーラ醸し出しやがって。
だめな匂いがぷんぷんする。
わたしは頬杖をついて
両耳を引っ張った。
トウコトウコトウコ。
トウコ以上に重要なものなんて
この世の中にはない。
なんとしてもわたしが
トウコの呪いを解かなければ。
。
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