幼なじみはボム女

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「ねえ祥太郎、萌えるってどうゆうこと?」 「……草木が芽吹くことだよ」 昼飯のあとのすこぶる眠たい脳味噌で答えてやる、親切で博識な俺。 「馬鹿、そんな事は知ってる。私の名前の由来だもん。じゃなくてさ、今巷で話題の方!」 そんな俺をバカ呼ばわりするバカ女――幼なじみの「萌」は、昔っから何でもかんでも俺に聞いてくる。 これなあに? あれなあに? これはね、あれはね……って俺はこいつの兄貴か何かか。 「何で俺に聞くんだよ。ほら、他にも知ってそうな奴いるだろ」 名付け親の思惑通り……なのかどうかは定かではないが、高校に入ってからの萌は変わった。 髪が伸びて、背も伸びて、なんというか色々成長した。 春、草木が芽吹くみたいに。 「……だって祥太郎が一番知ってそうなんだもん」 成長したのは見た目だけだったが。 まあな。お前みたいな純度100パーセント超の天然ガサツ女よりは俺、物知りだけどな。 「なんで萌の中で俺が知ってそうな奴ナンバーワンなんだよ」 「え、だってオタクに関係する言葉なんでしょ? 知ってんなら教えなさいよ、意地悪」 口を閉じていられないのかなこの女。 せめて女の子らしい口がきけないのかなこの女。 ……寡黙でクールなこの俺を気遣え、少しでいいから。
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