鬼と虎の共乱

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「雲長が…。」 「助けに行ってくるか?兄者。」 小さく呟く劉備の近くの樹に寄り掛って、酒の入った陶器を持った男が破軍蛇矛という蛇矛を肩に担ぎながら、劉備を見た。 「いや…、裏門は雲長と夏候惇殿に任せよう。此処の主戦力は翼徳…、お前だからな。」 劉備は張飛に言葉を掛ければ、静かに空を見上げた。 その耳には微かにだが金属音が聞こえた。 「中々粘る様だな…!!関羽…!!」 「貴殿を討つのが私の任…!貴殿を討つまでは私に死はない…。」 青龍刀を呂布に向かい振り下ろせば、呂布は方天戟を下から上へと斬り上げて対峙する。 互いの刃がぶつかり合えば、耳を塞ぎたくなる様な高い金属音に加え、火花を散らせた。 ──…一太刀でも斬られれば終わる。 その緊迫した空気に、互いの額には冷や汗に近い汗が滲んでいた。
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