鬼神断龍

2/5
231人が本棚に入れています
本棚に追加
/105ページ
「貴殿は何の為に武器を振るう…?私には其が分からぬ…。」 青龍刀を構えた状態で、呂布を見据えれば鋭く関羽は言い放った。 「理由か…?」 呂布は夏候惇と激しい打ち合いを続ける孫策を横目に一瞬見れば再び関羽に視線を戻し、初めてであろう愉しそうな笑みを浮かべた。 「俺の唯一の好敵手…、呉の小覇王と再び決着を着ける為だ…!!其までは百や二百の軍勢如きに、この呂布奉先は揺らぎはしない…!!」 方天戟を横に薙払い、風を起こせば高々と言い放ち、関羽…そして、周りの兵士達を睨んだ。 「そうか…。貴殿も自らの志を貫く為か…。其ならば、我が関雲長の武全てをもって止めてみせようぞ!!」 関羽は相手の言葉に頷けば、青龍刀を構えた姿勢で風を受ければ力強い瞳で見つめ返し、呂布に向かい走り寄った。 「龍は俺が斬る…!!行くぞ…っ!!」 二人の志がぶつかり合えば、爆風に近い風が辺りに吹き、兵士達は思わず目を細めた。 細めた視界には呂布の背後には鬼が爪を向け、関羽の背後には龍が牙を向け、睨み合う幻影が見えた。 其は見間違いだったのかも知れない…、然し、互いの思いの強さを表していたのは事実だった。
/105ページ

最初のコメントを投稿しよう!