鬼神断龍

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「…呂布奉先…!!」 劉備は家宝として身に付けていた真黄龍剣を引き抜き、仁徳に満ちた表情は既になくなっていた。 本陣のテントから出た劉備の視界に入ったのは、破軍蛇矛を片手に抱えながら、酒を飲む張飛の姿だった。 「翼徳…。そのだな…。」 その瞬間、劉備はどう話したら良いか分からずに言葉を濁した。 「兄者…、酒が美味いぜ…。」 「翼徳…。」 「あーぁ…、酒が美味いのは愉快だな!ワッハハハ!」 「翼徳!!」 「ほら!!美味いだろ…関羽…!」 「…!!」 酒を飲みながら劉備の言葉を遮る張飛に、劉備は喝を入れようと怒鳴った瞬間に放たれた言葉に劉備は言葉を失った。 ─…砂が軽く山に盛られ、木の枝を刺してあり…。 ──…その小さな砂山の元に関羽と書かれ、其処に飲んでいた酒を注いだ。 「なあ…、兄者…。桃園の誓いをした時から俺達三人は義兄弟になったんだよな…。」 酒で形が崩れていく砂山を見つめながら、張飛は小さく呟いた。 「ああ…、我等三人は蜀の礎を共に築いた仲間であり、義兄弟だ…。」 「ならよ…、兄弟の為に命令破るのは、悪行じゃねえよな…?俺は…今から呂布と一騎討ちをしてくる!!」 微かに流れた涙を瞼に押し戻す様に右腕でゴシゴシと擦り、張飛は破軍蛇矛を手に立ち上がった。
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