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「我が武は孟徳の覇業の為…!!そして、貴様の様な武の強者を倒す為…!」
夏候惇は再び孫策に斬り掛れば、孫策は覇王をクロスさせて受け止めれば、瞳に烈火の焔を宿らせた。
「俺の武はな…!!呉の皆の為…己の武の為…そして、大喬と一緒にいる為の武なんだよ!!」
孫策は夏候惇の顎に鋭い蹴り上げを放った。
その蹴りは真芯で夏候惇の顎を捉え、夏候惇は一瞬の事に理解が出来ずに目を見開きながら痛みに小さな唸りを上げた。
「ウォォォォッ!!」
夏候惇の腹部に右腕の拳を放てば、裏門の壁に夏候惇を叩きつけた。
「っぐ…ぅ!!」
孫策は更に右腕に力を込めて壁に向かい突き出せば、古い造りの白帝城の壁に皹が入って行く…。
「俺は…!!俺は覇王になるんだ!!此処で死ねねえんだよ…!!」
夏候惇は更に増す痛みに孫策の腕を掴み、肩に滅麒麟牙を振り下ろすも力が足りず、肩は斬れず刀身が肩に食い込み衣服に赤い色が滲んだ。
──…ミシッ…!!
孫策は腕に滴る血に目を向けずに、高々と叫ぶと古い壁を破壊し、夏候惇を殴り飛ばした。
夏候惇は白帝城内部に倒れ込むと、喉奥から沸き上がる血を咳き込み吐き出して、荒く息を吐いた。
「…はぁ…はぁ…!!」
「ぐ…孟…徳…!!お前の…覇業…見届けられぬが…!っ…この元譲…魂は共に…!!!」
夏候惇は滅麒麟牙を自らの胸に押し当てれば、強く瞼を瞑り、自らの胸を貫いた。
「夏候惇…、確かにお前の武は魏を支えていた柱だな…。」
孫策は肩に負った傷を軽く撫でながら、胸に志という名の剣を突き立てた夏候惇を見て呟いた。
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