第一章 引き継がれる意志

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「……すまないね」 「気をつけなよセンセー」  申し訳なさそうに後頭部を押さえる教師に対して眼鏡はアッサリと言い放つ。どう見ても立場が逆に思える。 「行こうぜ、無駄な時間を過ごしたよ」  言ってその場を立ち去ろうとする。 「おいおい、待てよ眼鏡!」  だがその突然の朝比奈の叫びに、戸惑い立ち止まる。 「はあ、俺のこと?」  そして不機嫌そうに訊ねた。傍らでは仲間の生徒も怪訝そうに立ち止まっている。 「ああ、お前だよ」  前に歩みだす朝比奈。その様子に教師も呆気にとられ立ち尽くす。 「人にぶつかったんだ。謝るくらいするのが常識だよな?」  朝比奈の堂々とした台詞が響く。 「常識ってなに? いいじゃんかよ別に」  しかし眼鏡も引こうとはしない。
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