第一章 引き継がれる意志

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『分かりました、少々お待ちを』  オペレーターの声が響く。 「ふん、これでお前の身元も行き先もバレバレだぜ」  隊員が呟く。勝ち誇ったような堂々とした笑みだ。 『ピ、ピ、ピ、……』  暫く後、返信音が鳴り出す。 「分かったか?」 『……それが、分かりません』  戸惑い気味に響くオペレーターの声。 「はぁ? 分かりませんって、登録していないってことか?」  呆れたように返した。たまによくある手法だ。登録してないということは、規制がしかれる前の旧車、もしくは盗難車両ということだろう。 『……衛星画像に映らないのです。主任の白バイは映っているのですが……』  しかしその思惑を余所にオペレーターが伝えた。 「……なにぃ!?」  愕然と眼前のバイクを見据える。 「ステルスシステムか。……とんでもない最新のカモフラージュだ…」  そして呆れるように呟いた。  ステルスシステムとは、取り付けるだけで衛星から姿を隠せるシステムだ。  だがそれの開発費は莫大で、かなり高価なものだ。たかが学生に買える代物ではない。 「クソがぁ! 金持ちのボンボンかよ!」  隊員の目つきが変わる。余程金持ちが嫌いらしい。更に本気で追跡を再開した__
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