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『分かりました、少々お待ちを』
オペレーターの声が響く。
「ふん、これでお前の身元も行き先もバレバレだぜ」
隊員が呟く。勝ち誇ったような堂々とした笑みだ。
『ピ、ピ、ピ、……』
暫く後、返信音が鳴り出す。
「分かったか?」
『……それが、分かりません』
戸惑い気味に響くオペレーターの声。
「はぁ? 分かりませんって、登録していないってことか?」
呆れたように返した。たまによくある手法だ。登録してないということは、規制がしかれる前の旧車、もしくは盗難車両ということだろう。
『……衛星画像に映らないのです。主任の白バイは映っているのですが……』
しかしその思惑を余所にオペレーターが伝えた。
「……なにぃ!?」
愕然と眼前のバイクを見据える。
「ステルスシステムか。……とんでもない最新のカモフラージュだ…」
そして呆れるように呟いた。
ステルスシステムとは、取り付けるだけで衛星から姿を隠せるシステムだ。
だがそれの開発費は莫大で、かなり高価なものだ。たかが学生に買える代物ではない。
「クソがぁ! 金持ちのボンボンかよ!」
隊員の目つきが変わる。余程金持ちが嫌いらしい。更に本気で追跡を再開した__
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