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「会長、大丈夫っすか?」
その喧騒を余所に、市村は若い取り巻きに守られその場から離れていく。
それでも市村は少しも意に介さない。
「大丈夫だ。それより今のガキ、サラってぶち殺せや」
恐怖より狂気の方が勝っていた。例え我が身が滅びようと、相手を追い込む気迫が感じられた。
しかしその台詞は周りの男達にとって困惑の対象でしかない。
「……警察の前ですぜ」
堪らず市村に耳打ちする。組織の面子も大事だが、国家組織の手前、派手な抗争は御法度だ。
「でこすけ? そうかそうだな、こんな所じゃなにも出来んわな」
納得する市村。何事もなかったように眼前に停められたリムジン後方に乗り込んでいった。
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