スカウト

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こんなチャンスはない 今までになくドキドキした 今からのレッスンでアピールしなきゃ! 防音性バッチリな スタジオだということも忘れ 隣の部屋にアピールすべく 私は強くマイクを握った 『始めよっか』 福井さんがキーボードの前に座る ガチャッ スタジオの重いドアが開く 「おはようございます!」 1つ年上の紗耶香ちゃんだった 『あ、荷物置いたらすぐ隣行って 挨拶きちんとね!』 福井さんが告げると 汗を拭き急いだ様子で スタジオから出て行った 『実はね、○○の人が 紗耶香ちゃんを気に入ってね 愛ちゃんのレッスンが終わったら テストレコーディングするんだ 上手くいけば事務所に拾って もらえるんだよ~』 ……私ではなかった 当たり前なのだが もしかしたらと期待してしまった 紗耶香ちゃんはルックスもよく 歌唱力もスクール内で飛び抜けていた 私より経験も実力もあり 憧れの先輩だったのだが 嫉妬した 悔しかった
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