砕ケタ思イハ

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彼の顔には、嫌悪感を示すような表情がありありと浮かんでいた。 今まで浮かべていた笑みはスッと消え、恐ろしいほどの冷たい表情で僕のことを見据えていた。 その視線はまるで、汚いものでも見るような目つきで━━ 「気持ち悪い」 その言葉で、僕のセカイは粉々に砕け散った。 呆然としたまま、僕はその場からぴくりとも動けない。 そんな僕を見て、彼はふんと鼻で笑った。 「バッカじゃねぇの? お前がそんなやつだったとは今まで思わなかった。あー、マジでありえねぇ」 僕は押されるがまま、そのまま地面に尻餅をついた。 「もう俺に話しかけてくんな。絶交だ」 彼は何の感情もこもっていない口調で言い放ち、踵を返してそのまま立ち去ってしまった。 「っ…く……!」 こうなることは分かっていた。 でも、もしかしたら……彼なら僕の気持ちを分かってくれると思った。 それも、無駄。 今まで親友だと思ってたのに、簡単に拒絶された。 そんなの、当たり前だ。 今までのことは全部幻だっと思った途端、涙が止まらなかった。 彼との関係を一瞬で壊してしまった、今までの関係でも十分なのに。 彼に対する気持ちを我慢出来なかった自分が、ひどく憎たらしかった。
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