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その日もいつもどうりの塾の帰りだった。
日もかなり沈んでいたので、早く帰りたい一心であまり人どうりのない裏道路へと足を運んだ。
道を少し歩くと、電柱の陰に女性が泣いている。遠くから見た感じでは、ロングヘヤーのきれいな女性だった。
その女性の横をとうり過ぎようとしたときだった。
「私…きれい?」
女性がぼそりと喋った。
が、後ろ姿しか見えなかったので、無視して過ぎようとするとまた、
「私…きれい?」
仕方がないので僕は、
「綺麗ですよ。」
と言った、すると彼女はにこりと笑いながらこっちを向いた。
しかし、すぐにそれが笑っているわけではないことに気がついた、なぜなら彼女の口は、
口から耳の辺りまで裂けていて、傷からはまだ裂けたばかりのように血が滴れていたからだ。
「あ・り・が・とう!!!」
そう言うと彼女は右手に持っていた包丁を顔に突きつけてきた。
僕は一目散に走った、後ろを振り返ると、女はまるで楽しんでいるかのように追っかけて来ている。
自分の家の近くまで来ると、走る音がしなくなった、振り返ると彼女は居なくなっていた。
いま僕はあの道には二度と行かないようにしている。
なぜなら、その時間になるとあの女性が泣いているから…
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