あいつ

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雪路涼。 サッカー部のこいつは、短めの髪に軽くワックスをかけた髪でいつも登校してくる。あの匂いは嫌いだから、あんまりして欲しくはないんだけどな。そばにくる以上は。 無駄に身長も高くて、180もいったとか。まだ伸びてるらしいけどな。 でっかい目に、いつも浮かべている人懐っこい笑み。 私とは反対にいつも笑ってるイメージがついているコイツ。 あぁ、女子にも男子にも人気らしい。よくは知らないけれど。 クラスも殆どの場合同じ。 席もなんの嫌がらせか、毎回近い。 ……ほんとに、勘弁して欲しい。 私は静かに終わりたいと言うのに。 「なっちゃん―」 が、コイツがいる限りは不可能という事を私は既に悟ってる。 クラスのムードメーカー。 人気者。 サッカーのエース。 目立つ要素満載のコイツの幼馴染みである以上。 コイツが私に付き纏ってくる以上。 私の希望はことごとく粉砕されていくのだった。 あぁあ。
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