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教室に入り席につくと、隣りの女の子が笑顔で挨拶をくれた。
「おはよう、夏那ちゃん」
「おはよう、鈴」
今まで来なかった事に触れずに、首をかしげて聞いてきた。
「板書の写しいる?今なら無料で貸すよ」
「無料なら借りようかな。今日無い教科だけ貸して」
「ん―、分かった」
余計な気遣いをせず、かと言って必要な事をしてくれるあの子を、私は気に入っていて、一番の友達だって言える。
「はいっ、夏那ちゃん」
「サンキュー。明日返す」
「英語以外は大丈夫だよ?明日ないし」
「ん、大丈夫。帰ったら写すから」
丁寧にノートをしまい、私は席に座った。 鈴は私の隣りに座る。
「大事にされてるね―、夏那ちゃん」
「?何で」
「雪路くん、頑張ってたよ」
「……あいつのせいでもあるんだから、しょうがない」
「夏那ちゃんは厳しいな」
おかしそうに笑う鈴にむすっ、としつつ、私はノートを広げるのだった。
こうやって、何事もなく一日が過ぎていった。
私とあいつの関係はまだ変わっていない。
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