優子32歳

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結婚して8年。 和樹とは社内恋愛だった。 先に仕掛けたのは私。 必ず和樹と一生を共にするとひたすら彼を求めたのだ。 未だその理由は分からない。だけど結婚に至る理由は充分にあったはずなのだ。 付き合ってすぐにできた子どもを堕ろしたこと。 阪神大震災の混乱の中、必死で神戸に住む私を探しに来てくれたこと。 結婚までは色々あったけど一緒になってよかったよね、和樹? ぼんやりとしながら私は目の開かない長男が必死で私の乳房にしがみつくのを感じながら心の中で呟く。 「あなたのパパは好きな女の人がいるみたい。」
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