第一章【幸福の前触れ】

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 その表情のまま駿司くんの肩を思いきり叩いた。  「いって!何すんだよ!?」  「女の子に対して失礼なこと言うからよ!あたし帰る!!」  「ちょ…凛?」  凛は私の横に来て、小さく耳元で囁いた。  「自分だけ駿司と仲良しだなんて思わないでね。」  ブルッと身震いした。彼女の声は、とても冷やかだったのだ。 そのまま凛は私と駿司くんに背を向けたまま手を振り階段を下りて行った。  「俺、あぁいう女苦手だな。」  ボソッと呟いた彼の言葉が、ほんの少しだけ救いだったかもしれない…。  「なんか疲れちまったな。教室、戻るか!」  駿司くんは、先に立ち上がり手を差し出してくれた。 一瞬、ためらいながら彼の顔を見た。 にっこり微笑んでる駿司くんを見て 私も微笑み返し差し出された手を掴んだ。
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