第一章【幸福の前触れ】

14/21
前へ
/240ページ
次へ
 「あっ、おかえりー。」  教室に戻ると、茜と透馬くんが向かい合いながら雑談していた。  「二人で抜けがけズルいぞ!」  透馬くんは、何故かニヤニヤしていた。  「私たちそろそろ帰ろうと思ってたんだけど…優奈ちゃんたちは?」  私は、反射的に駿司くんの顔を見た。 すると彼は"俺らも帰るよ"と即答。 鞄を持ち、教室を出ようとしたとき―― 茜ちゃんが私の肩をポンっと叩いて小さな声で言った。  「まだ時間あるなら、ちょっとだけ話せないかな?」  「大丈夫だよ。じゃあ座ろっ…」  「違うの!その…えぇっと……トイレ行かない?」  何やら彼女は慌てていた。
/240ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加