第一章【幸福の前触れ】

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 ―――そして、また沈黙。 モヤモヤした気持ちで気分が悪くなりそうだった。  『まもなく――加賀見、加賀見に到着です』  アナウンスが流れると、駿司くんが立ち上がる。 自然と上目づかいになり彼を見上げた。  「じゃあな。また明日!」  「ばいばーい。」  何気ない会話だというのに―――何故かすごく心地よかった。 こんな気持ちになったの…あの人以来だな。  今まで彼が座っていた場所に、そっと手を置いてみた。 暖かく、優しい――彼の残したぬくもりに浸りながら。
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