第一章【幸福の前触れ】

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 3年前――  「優奈(ゆな)はどうする?」  話を振られてハッと我に返った。おそらく、かなり間抜けな顔をしていたのだろう。 声のしたほうを見ると、友達の凛(りん)は今にも笑いだしそうだった。  「今、かなり考え事してたみたいだけど何考えてんの?」  凛は、私の顔をのぞきこみ問う。  「ううん。何でもないよ…で、何の話だっけ?」  「恋したいな。とか考えちゃってんじゃないのー?」  ニヤニヤしながら私の肩をポンっと叩いた。 ――違う!と言いかけたところに違う声が重なる。  「優奈も来るっしょ!」  その声の主に視線を向けると、胸がキュンとした。意味もなく頭を左右に振り冷静になろうとする。  「優奈ちゃん、今週の土曜日暇?みんなで遊ぼうって話してたんだけど。」  「こうしてグループになったのも何かの縁だし、交流を深めようってやつ!」  茜(あかね)ちゃんと透馬(とうま)くんが話の流れを教えてくれた。  「それ、いいね!中学の時、あんま男女一緒に遊ぶなんてことなかったから新鮮!!」  「でしょー。この案、考えたの駿司(しゅんじ)なんだから。」  そう言いながら凛は、駿司くんの頭をくしゃくしゃっとして笑っていた。
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