第一章【幸福の前触れ】

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 放課後になり、人気が少なくなっていた。 すでに教室には私たちのグループ以外の人はいない。  「みんなさー好きな人いないの?」  足を組んで、机に頬杖つき空いた手でお菓子を食べながら凛は言った。  「急な質問だなー。俺、今フリーだよ!中3のとき別れちまった。」  透馬くんは、まるで笑い話のように軽く答えた。  「へぇ。透馬くん彼女いたんだね。すごく面白いしモテそうだけど。」  「どうだかねー?まぁ、物好きな女は何人かいたけど。」  茜ちゃんは、どうやら透馬くんのことを気に入っているらしい。 見ていて、つくづくそう思う。 でも、おそらく茜ちゃんは内気で引っ込み思案だから なかなか自分の気持ちを相手に伝えることはできないだろう。  「元カノどんな人だったのー?」  凛は、見た目ギャル系。誰のこともすぐ呼び捨だし 馴れ馴れしい。中学の頃から男友達も多いらしく 夜遊びもよくしているような子だ。
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