第一章【幸福の前触れ】

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 3人が恋愛トークで盛り上がる中 駿司くんは輪から外れた場所で外を眺めていた。 私も彼の隣に行き同じ外を眺める。  「話さなくていいの?」  「えっ?」  「あの3人かなり盛り上がってるみたいだけど。」  「あっ…いいの。駿司くんこそいいの?」  「…ちょっと廊下行こうぜ。」  ぐいっと腕を引っ張られ、半ば強引に廊下へと連れていかれた。  「まだ、学校の中よくわかんないよなー。」  「そうだね。教室移動するとき迷っちゃうね。」  腕を掴まれたままで、ドキドキが止まらない。  「ちょっと探索すっか!」  駿司くんは、そう言って先に歩きだした。 今まで掴まれていた腕にそっと触れる。 まだ、わずかに彼のぬくもりが残ってる気がした。
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