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生まれて初めて自分で作ったチョコ。
綺麗にラッピングしたけれど、彼は私に振り向いてくれるか分からない。
大丈夫、大丈夫だと自分に言い聞かせないと不安で仕方なかった。
「ん?何だコレ?」
靴箱で私の手紙を見つけた彼。
呼び出し場所はベタに体育館裏だけど、やっぱりあそこが一番いい。
時間は放課後。
あっという間に時間は過ぎた。
「……何だ、お前かよ。ったく……変な悪戯しやがって」
呼び出し場所に現れた私を見るなり、彼は笑いながらそう言った。
言葉が出ない。
私は無言でチョコを差し出す。
彼はそれと私の顔を何度も交互に見た。
絶対に、今の私は真っ赤な顔になっている。
「……本気、なのか?」
彼は驚きを隠せない。
無理もない、さっきまでは普通の友達だったんだから。
私はただ、黙って頷いた。
「……ごめん。俺はお前をそういう目では見られない……だから友達でいてくれ」
本当に申し訳なさそうに、彼はそう言った。
私の頭は真っ白だったけれど、現実はちゃんと受け止めなきゃ。
私の初恋は散ったんだ。
「お~い!慎也!さっさと練習しようぜ!!」
「……ああ、今行く!」
私を残して、彼は名を呼ぶ友達の所へ行ってしまった。
失恋ってこういうモノなんだ。
「和樹!何やってんだよ、お前も早く来いよ!」
静かな体育館裏に響く声。
それは私の名を呼ぶ声だった。
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