第1章 邂逅①

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太陽の光が、喧嘩を売っているのかと思うほど眩しい春の日。 ローランド・レグールは本日何度目かのため息を吐いた。   原因は、今彼の前に座っている母、テラローシャ・レグールが永遠と話し続けている、ローランドの義弟、ライ・レグールについての愚痴だった。   「…ですから、貴方からも何か言っておいて下さい」   喋るだけ喋って、部屋を出てゆく。それを見送り、   「なんとか言えったって…」   1人、独白する。   「本人にその気がないんだから、仕方ないだろ…」   机につっぷして、頭を抱える。 最近、この少し間抜けなポーズが多くなってきた気がするのは、気のせいではないだろう。   少し長くのばし、後ろでひとつに纏めた金髪が、窓から入る風に揺れる。   彼の実家…つまりレグール家は、代々公爵位を継いでいる。 今はローランドの父が、公爵として日々執務に勤しんでいるが、あと数年もすればローランドが継ぐことになるだろう。   家族構成は、父・母・妻そして義弟と義妹。 義弟ライと義妹エミリ…この2にんは血の繋がった兄妹だが、ローランドとは血の繋がりはない。 つまり、レグール家にとっては養子だ。   代々爵位を継いでいる家に、もし男児が生まれなかったら、養子をとるのはあまり珍しいことではない。 しかし、レグール家のように、長男がいるのに養子をとるのは珍しいと言えるだろう。   幼き日のローランドが、『ぼく、弟と妹がほしい!』と駄々をこねたのがきっかけ。
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