第1章 邂逅①

3/7
前へ
/26ページ
次へ
ローランドを生み、テラローシャはこれ以上子を成すことができなくなった。 が、大切な可愛い長男の願いを叶えようと、ライ達兄妹を養子に迎えたのだ。   その義弟ライも、今年で23歳。 いい加減、結婚を考えていい年だった。   世間体だってある。   次男で養子とはいえ、公爵家の性を名乗っている以上、世間の目はなかなか厳しいのだ。   しかし、どういうわけか、本人は全く結婚の意志がない。   見合いを薦めても、なんだかんだと言い訳をして断るし、無理矢理見合い相手と合わせてみても、異性と…しかも上流階級の女性とあまり会話をかわしたことがないため、いつも破談になる。   ただでさえ、養子だからとライとエミリのことが気に入らない母としては、うっとおしいのだろう。   気に入られていないライとエミリはこの本家にはめったに入れず、屋敷のすみに建ててある小さな小屋で生活をしている始末だ。   また、エミリは生まれつき目が見えず、病弱なためお金がかかる。 しかし、本家からもらえる生活費は雀の涙。 必然的に、ライが自ら稼いでこなければならなくなる。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加