9人が本棚に入れています
本棚に追加
レグール家は爵位の他にも、王家から将軍の位も拝命されている。
ローランドも父も、なかなかの剣の使い手だが、ライはもっと強いだろう。
お金を少しでも多く稼ぐため、彼は随分と危ない仕事もしているようだ。
ローランドが物思いに耽っていると、
コンコン…
控えめなノック音が響き、彼の妻、レオノーラが入ってきた。
「お仕事中にごめんなさいね、あなた」
軽くウェーブがかかった、紫がかる銀の髪を、高い一度一つにむすび、スミレ色の瞳を持つ美しい女性だった。
「いや、大丈夫だ。それより…どうだった?」
「えぇ、熱はもう下がったし、安静にしていれば大丈夫でしょう」
エミリが熱を出したので、ローランドに頼まれたレオノーラが様子を見てきたところだった。
「まったく…こんな時にライの奴は、一体何処で何をしているんだ…」
「すぐに帰る…とは言っていたんですけど…」
ライは、しょっちゅう行方不明になる。
「そう言えば、廊下でお義母様とすれ違いましたが…また、ライ君のことですか?」
「母さんが、わざわざ俺の執務室に来る理由なんて、それしかないだろう」
「次のパーティまで、あと2月もありませんから…」
王家や大貴族が催すパーティは社交の場だ。
母は、その日までにはなんとか、ライの婚約を世間にお披露目したいと考えている。
ローランドはやはり頭を抱えながら…
「無理だ…絶対に無理だ…」
最初のコメントを投稿しよう!