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「姫様……姫様ー!」
「王女様ー!」
「いたか!?」
「いや、こっちにはいない!」
オパールは、自分を探して右往左往する使用人達の声が遠ざかるのを聞きながら、クローゼットの中で息を潜めた。
オパール=トリアム=ウィンドミア。
ストレートの金髪とサファイアのような青い瞳が自慢な、現在15歳。
ここブリザルド王国のれっきとした王女である。
そんな彼女の日課は、嫌いな科目の勉強の時間になると城からの脱走を謀ることだ。
この日も歴史の授業をやり過ごそうと、自分を探す使用人の目をかいくぐって城からの脱走を試みているところだった。
オパールはクローゼットの扉に耳を押し当てて廊下が静かになったのを確認すると、静かに扉を開いた。
あとは城を抜け出すだけだ。
音を立てないようにそっと扉を閉め、さぁ部屋を出よう、と振り返った時だった。
「あぁ、そこにいたんですか」
「きゃあぁぁぁ!?」
気配なく突然掛けられた声に、オパールは言葉通り飛び上がった。
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