■伍■

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「礼恩、言ったよね。"全てを知ったら好きだなんて言わない"って。」 礼恩は私を見つめたまま、黙り込んでる。 「…私、知ってるよ。」 礼恩の表情が変わる。 明らかに、驚いた顔してる。 「礼恩が愛した人の事。何があったのかも。」 「っ…相田か…」 「ごめんね。私が無理言って教えてもらったの。どうしても礼恩の事が知りたかったから。」 礼恩の顔が、少し引きつったように見える。 「でもね、私の気持ちは変わったりなんてしなかった。…ねぇ礼恩。…悠笑さんは、笑ってたんだよね?」 「っ…」 私から視線を逸らす。 「笑って、その手を離したのは、礼恩を愛してたからだって、私は思うんだ。」 「…だから俺は…」 「違う。」 私の言葉に、礼恩は再び顔を上げる。 視線が交差する。 その目は鋭くて、怯みそうになる。 …でも、負けたりしない。
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