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「礼恩、言ったよね。"全てを知ったら好きだなんて言わない"って。」
礼恩は私を見つめたまま、黙り込んでる。
「…私、知ってるよ。」
礼恩の表情が変わる。
明らかに、驚いた顔してる。
「礼恩が愛した人の事。何があったのかも。」
「っ…相田か…」
「ごめんね。私が無理言って教えてもらったの。どうしても礼恩の事が知りたかったから。」
礼恩の顔が、少し引きつったように見える。
「でもね、私の気持ちは変わったりなんてしなかった。…ねぇ礼恩。…悠笑さんは、笑ってたんだよね?」
「っ…」
私から視線を逸らす。
「笑って、その手を離したのは、礼恩を愛してたからだって、私は思うんだ。」
「…だから俺は…」
「違う。」
私の言葉に、礼恩は再び顔を上げる。
視線が交差する。
その目は鋭くて、怯みそうになる。
…でも、負けたりしない。
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