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「よせっ…何をしてる!!」
「大丈夫よ。」
努めて明るく。
笑ったまま話す。
「…ねぇ、礼恩。」
「…何だ。」
声が震えてる。
私を見つめるその目も、震えてる。
「最後にヒトツ、教えて。」
礼恩は黙ったまま、私の言葉を待ってる
「礼恩は、今でもその傷をつけた人が好き?」
「っ…」
「好きなの?…それとも、心を縛り付ける存在?…私ね、思うの。自分が死んで、相手を縛り付けてしまうような運命なら、そんなもの、私はいらない。」
「亜葵…」
「例え今死んだとしても、恨んだりなんてしない。苦しんで欲しいなんて思わない。」
「亜葵…?」
礼恩の顔が、苦痛から不安に変わる。
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