■伍■

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「よせっ…何をしてる!!」 「大丈夫よ。」 努めて明るく。 笑ったまま話す。 「…ねぇ、礼恩。」 「…何だ。」 声が震えてる。 私を見つめるその目も、震えてる。 「最後にヒトツ、教えて。」 礼恩は黙ったまま、私の言葉を待ってる 「礼恩は、今でもその傷をつけた人が好き?」 「っ…」 「好きなの?…それとも、心を縛り付ける存在?…私ね、思うの。自分が死んで、相手を縛り付けてしまうような運命なら、そんなもの、私はいらない。」 「亜葵…」 「例え今死んだとしても、恨んだりなんてしない。苦しんで欲しいなんて思わない。」 「亜葵…?」 礼恩の顔が、苦痛から不安に変わる。
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