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真琴は少し安心したようで、ベッド脇のイスに座るとあたりを見回した。
「それにしても、個室って高いんじゃないの?」
「うん…。でも、帰って来れない分だって、お父さんが個室でゆっくりしなさいって。」
「おぉ、リッチだね。」
「そんなことないよ。」
きょろきょろと周りを見ていた真琴の目が、あるところで留まった。
「ねぇ、これなんて読むの?」
「ん?」
真琴の目はベッドの脇にある私の名前の上に書いてある
主治医の名前に留まっていた。
「あぁ、"みやざわ れおん"。」
「へぇ~、変わった名前ね。」
「本人もだいぶ変わってるよ…」
私は礼恩の顔を思い出してため息をついた。
「髪の毛赤いし、無精ヒゲ生えてるし、オヤジだし…」
『…亜葵』
「っ…。」
礼恩の声が急に思い出されて、顔が赤くなる。
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