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少し離れた街路樹の陰で、髪の長い、綺麗でおしとやかそうな女の人がコッチの様子を伺ってる。
『お前とは正反対の人なんだ。俺より年上だけど、俺がいないとダメなんだ。』
―ワタシ トハ セイハンタイ―
『彼女が、俺の運命の人だと思うんだ。』
彼の言葉に喉が詰まる。
今、何て言った…?
―彼女 ガ 俺 ノ 運命ノ人―
半年前、確かに私は聞いた。
彼の口からその言葉を。
私に向かって。
運命って何?
たった半年で他の人へ移ってしまうような、そんな軽い気持ちで言えてしまう言葉なの?
『お前明るいし、いつでも元気だし。俺なんかいなくても一人で立てるよ。』
『っ…。』
『じゃあな』
いっちゃう…
あの女の人と…
二人で腕を組んで、地下鉄の階段を下りていく。
『待って!!!!』
必死で追いかけた。
急いで、急いで
足がもつれた。
『きゃあああああああ!!!!』
ブラックアウト―――――――
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