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彼らが横を通り過ぎたところで、突然携帯が鳴った。ポケットから取り出し、携帯を開いた時に見た着信相手に、俺は息を呑んだ。
「…………大、輝?」
『翔太~、久しぶり!なあ、今何処?』
「へ?えーっと……駅。」
『は?何線?』
「え、大井町?」
『大井町……。何色の服着てる?』
「深緑??なあ、何でそんな事聞くんだよ?」
『待ってろ、今行く。』
え?
行くって、お前は何処にいるんだ?
海外にいんじゃねぇの??
切れてしまった携帯を閉じ、ポケットにしまう。
何が何だか分からないまま、とりあえず此処にいるべきなのだろうと悟った俺は、柵に凭れかかって大輝を待つ事にした。
その数十分後―――
一機のヘリが、近付いてきた。
あのヘリ、下の方飛び過ぎだろ。
「………え?ちょ、近っ…!?」
此処、もろ住宅街ですけど!
なんだあのヘリ!!
どう考えても着陸地点じゃないだろ!?
どう考えてもおかしいそのヘリを見上げていると、扉が開いて一本のロープが垂れ下がってきた。
特殊部隊のような全身黒ずくめの人が降りてきて、こちらに駆け寄る。
や、俺何も悪い事してないだろ!?
そりゃ他人の財布丸々受け取ったけど、あれはあいつの故意でやった事だし!
色々と最悪な事態までを考え、後退る。
腕を伸ばせば触れる事が出来る位置まできたとき、そいつは黒いヘルメットを外した。
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