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「大輝は?恋人出来た?」
「いやー…あっちなんかディープ過ぎて無理だわ。」
「ははっ、なんだよそれ。」
「なんつーか………うん、極濃厚。やっぱ俺ジャパニーズだから、あっさりが好きみたいでねー…。」
大輝の前に、注文していた珈琲と俺の前に紅茶がきた。
それを啜りながら、大輝は話を続ける。
「で、あっさりめは誰かを考えて考えて、最終的に翔太に辿り着くんだ。」
「………俺?」
「そう。離れてみると気付くって本当なんだなー…いや、もうずっと気付いてたけど、改めて気付いたっつーか。」
「………。」
「どーしても翔太に言いたくてさ。」
照れたように笑う大輝。
でも、その瞳は曇って見える。
「だから俺は、お前には幸せになって欲しいって思ってる。もし……アイツがお前を悲しませるような事をしたら、真っ直ぐ俺んとこ来い。」
「大輝…。」
「……怜も同じ事言うだろうけどな?」
鳴り響く携帯に苦笑して、大輝は通話ボタンを押した。
俺は温かい紅茶を啜りながら、熱くなっていく胸を感じていた。
恥ずかしいとかじゃない。温かくて、心が癒される言葉だった。
俺はこんなにも想われてて、幸せ過ぎるなぁ…。
「じゃ、俺そろそろ帰るわ。」
「え?」
「明日の朝までに帰らねーとヤベェんだ。抜け出して来たから。」
「は?え……抜け出っ…!?」
「会えて嬉しかった。またな?」
掌で頭を撫でられ、寂しそうな大輝の瞳が目に映る。
だから、思わず離れていくその手を掴んでしまった。
「翔太?」
「また……絶対来いよ…?」
「ああ、絶対行くよ。」
「っ…大輝…」
「……そんな顔してると、キスすんぞ?」
そう言って、一瞬だけ触れる程度の口付けを額にされる。
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