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「………。」
「…翔太くん?」
「……良いけど、俺腹減ったから朝飯食いたいや。オススメあります?」
「朝飯ね~、オッケー。千景ー!ジュリー一つ!」
カウンターのもっと奥、厨房の方から声が聞こえた。
「翔太くんは大学生なんだっけ?」
「…はい。」
「大学、楽しい?」
「はい、楽しいですよ。」
「彼女とかいんの?」
「……ハイ!?」
突然の質問に、変な声が出てしまった。
「くっ…、はははっ…!そっか、こーゆう話は苦手か~!」
肩を震わせ、カウンターに突っ伏して笑う相手の姿が目につく。
つーか、そんな笑うことないだろ!?
「おにーさんで良かったら恋人いない翔太くんの相手してやっても良いぞ~?休日に男を磨く!」
相手の掌が、頬に触れる。
少し引き寄せられ、至近距離で見つめられる。
「ちょ、近いって……」
「お前……犬みたいな顔してんな…柴犬?」
「はぁ!?」
「柴犬磨いてハスキーにしてやろうか。…うん、それが良い。」
「は、ちょっ…何勝手に決めてんだよ!!やんねーからなっ!」
勝手に話を進める相手を怒るも、彼はただヘラヘラと笑っているだけだ。
そんな中、俺の目の前にハムチーズのパニーニがきた。
中のチーズは熱で溶け、皿の上にとろりと垂れている。
「うわっ、すっげー美味そう!いっただきまーすっ」
「―――…で、さっきの話………典と付き合ってんだろ?」
「―――ッ!?」
口を大きく開けて、パニーニにかぶりついた瞬間だった。
なんていうタイミングでこいつは言うのかな。
「そんな隠す事ねぇだろ?……ま、翔太くんって典のタイプそのまんまだもんな。」
「………。」
「ホント、いっつも似たような奴好きになるよな~アイツ。」
ニッコリと微笑みながら意味深な言葉を言う相手。
発言が気になったけど、敢えて何も聞かなかった―――…のに。
「この前もさ~、店に高校生みたいなガキ連れて来てイチャイチャしてたんだぜ?」
「………いつ?」
「一週間前くらいかね…。」
「ふぅん。」
一週間前って……ホントつい最近じゃん。
俺、何してた?
普通に大学行ってたよな…。
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