on sunday

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「そうか…。」 「おう!そんなんでネチネチ言ってらんねーし!なぁ、線路沿いに行ったら良いよな?」 「ああ。」 彼に腕を引かれ、歩き出す。 その少しだけ大きくなった背中を、身長を、少しだけ伸びた髪を見つめる。 腕の袖を掴む手に視線を落とし、その指先に触れた。 「何?」 「いや、成長したなと思って。」 「………はぁ?何オッサンみたいな事言ってんだよ……ああ、オッサンか~。」 ヘラリと可愛く笑う相手が憎い。 「今日の晩………覚えてろよ。」 聞こえないとばかりにそそくさと逃げる相手を追うよう、俺は歩き出した。 しかし、数歩歩き出したところで鳴る携帯。それを手にし、携帯を開き着信相手を目にした途端、彼は目を見開いた。 「どーした?」 「いや…、何でもない。」 何事もなかったように携帯を閉じたが、その後何度もかかってくる着信に観念し、ついに電話に出た。 「………ああ、俺。…今は駄目だ。………悪い。」 電話を切った伊藤は、長い溜め息を吐いている。 「呼び出し?」 「ああ、でも大した内容じゃない。」 「急患なんだろ?…行った方が良いって。」 「…大丈夫だろ。」 「何でそんな事言うんだよ、病人が待ってんだろ?お前それでも医者?」 「………。」 「俺は良いから行って来いって、ほら!」 伊藤の背中を押して、病院のある方向へと押す。彼は数歩歩き出した所で振り返り、上着のポケットから何かを取り出した。 そして投げ渡されたのは、財布。 「何かあったら使え。」 「マジで?ラッキー!」 「使い過ぎるなよ?あと、何処にいるか必ずメールしろ。あと―――」 「はいはい、分かったから行って来いって。」 さっさと行けと手を振られ、渋々と向かう。彼を振り返れば、笑顔で送ってくれている。 その笑顔に大丈夫だと思い、伊藤は早足でその場を後にした。  
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