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身長の小さく髪を2つに下げた少女・大場 彩(オオバ アヤ)は、愛らしい笑みを浮かべながら顔を覗き込んでくる。
「どうかした?」
その隣には青い縁の眼鏡をかけたおとなしい少女・藤堂 愛理(トウドウ アイリ)が様子を窺う。
だが遠藤は何でもないと言わんばかりに首を振って見せた。
「一瞬いないかと思っただけ」
2人は顔を見合せて、くすくすと笑って見せた。
「ずっとここに立ってたよ。何を言い出すかと思えば」
「由紀、まだ寝ぼけてるー」
2人にくすくすと笑われてしまい、遠藤も一緒になって笑う。
しかし、心のどこかで何かが引っ掛かっている。
先ほど覗いたときに、2人がいなかったのは確かだ。妙な疑問を抱いたまま、荷物を取りに部屋に戻った。
「メール来てるのー。早く読んだげてー」
ジュンコがふとよぎるが、まだ返事を返していない。かといって、他に思い当たるところがないがとりあえず開く。
「こんにちは。遠藤 由紀。ようやく見つけた、能力者」
「こんにちは。遠藤 由紀。ようやく見つけた、能力者」
先ほど読んでないメールも同じ内容だった。
ぞくりと体内の熱が下がった。
原因はわかりきってる。
逃げられない現実。
「大丈夫。絶対大丈夫」
口ずさみながら、呼吸を繰り返した。
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