目覚め

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 目を覚ました気がした。  うっすらと瞳が写す部屋の光景、微かに香る冬の匂いを遠藤 由紀(エンドウ ユキ)は感じ取り、大きく息を吸う。  どうやっても身体を起こす気分じゃない。  ただ横になり、昨日閉め忘れたカーテンの隙間から差し込む太陽の明かりを見つめながら、何もしないことに集中する。  部屋の中は光よりも影が多く存在していた。まだ、太陽も完全には昇りきってないようだ。  何もしたくないはずなのに、身体は言う事を聞かずに辺りを見回す。  抵抗することをやめ、身体を動かすことにした。  太陽は確実に昇る。それは窓から差し込む明かりの量でわかった。  遠藤はただ溜息をついた。  ゆっくりと瞳を閉じて昨日の出来事を思い出してみるが、何も覚えてなかった。  もう一度溜息をつくと、白く濁り部屋が寒い事を教えた。そして真冬になってしまったことを気付かされた。 「なぁーにやってんやろ」  天井に手を伸ばすものの、呆気なくそれは地に戻された。  力無く溜息ばかりついて、布団の中へと逃げ込む。
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