0人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
目を覚ました気がした。
うっすらと瞳が写す部屋の光景、微かに香る冬の匂いを遠藤 由紀(エンドウ ユキ)は感じ取り、大きく息を吸う。
どうやっても身体を起こす気分じゃない。
ただ横になり、昨日閉め忘れたカーテンの隙間から差し込む太陽の明かりを見つめながら、何もしないことに集中する。
部屋の中は光よりも影が多く存在していた。まだ、太陽も完全には昇りきってないようだ。
何もしたくないはずなのに、身体は言う事を聞かずに辺りを見回す。
抵抗することをやめ、身体を動かすことにした。
太陽は確実に昇る。それは窓から差し込む明かりの量でわかった。
遠藤はただ溜息をついた。
ゆっくりと瞳を閉じて昨日の出来事を思い出してみるが、何も覚えてなかった。
もう一度溜息をつくと、白く濁り部屋が寒い事を教えた。そして真冬になってしまったことを気付かされた。
「なぁーにやってんやろ」
天井に手を伸ばすものの、呆気なくそれは地に戻された。
力無く溜息ばかりついて、布団の中へと逃げ込む。
最初のコメントを投稿しよう!