目覚め

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パソコンにつながれたテディベア「くま子」が呼びかける。最近見かけなくなったタイプのぬいぐるみのくま子は優秀にメールが来ると教えてくれる。  そのおかげで、遠藤の脳はしっかりと目覚めた。  こんな風にメールに過剰反応するあたり、現代っ子なんだなと感じた。  メールを開くとそこには見慣れた名前があった。  カタカナで表示された名前ジュンコ。彼女はアメリカに住んでいるメル友というもの。たまたまチャットルームで意気投合してから今に至る。まだあったこともないのに、何故か気が合う友達なのだ。 「ユキ様へ。私と貴女はもう少しで会える。その時、幸せか不幸か分からないけど。笑えるといいな。怪我しないといいな。ジュンコより」 彼女の言ってる意味が分からなかった。 たまにジュンコはよく分からないことを言い出す。 日本に来てるのだろうかと思いながらも、胸の奥が少しだけ痛んだ。 どうせ傷つくなら会わない方がいいのは分かっている 大きく息を吸って、気分をすっきりさせる。 きっと会うこともないだろうと考えに見切りをつけてパソコンを切った。 「入るわよ」 ノックなしで部屋のドアが開いた。
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