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「もう、大丈夫・・・」
先ほどまで、オレの胸の中で俯いていた千星は
顔をあげ、短距離にあるオレの顔をジッと見つめていた。
何億人もいる、この世界でたった01人のオレを。
「ありがと、ソラたん」
「おう♪」
オレの腕の中で千星は確かに微笑んでいたんだ。
抱き締めたまま、オレは千星の頭をなでた。
・・・・・そう、自分が何をしているのか気付かず。
「あ、あの、ソラたん・・・///」
「ん――??」
千星がもぞもぞと動き、何かを言いにくそうにしている。
オレは、「どうした?」って聞いてみたんだ。
「だ、抱いた、まま・・・・?//」
「あ、すまんッ!!!」
自分がしていた行為の恥ずかしさ、軽率さにやっと気付く。
千星はアハハッ、と恥ずかしげに微笑むばかりだった。
「ソラ」
「ん・・・?」
急に、微笑みながらオレを見て、名前を呼ぶ。
千星に振り返ると、今まで以上に綺麗な笑顔で千星は
「大好きだよ」
と、いったんだ。
オレは、それがすごく嬉しくて、顔が火照っていった。
でも、そんなの千星に知られたくなかったからもう1度抱き締めたんだ。
「ほえ!?」
「黙っとけ、ばーかっ・・・」
「・・・うん//」
えへへ、と嬉しそうに笑う千星。
あぁ、照れ隠しだ、ってコイツにはバレてるんだ。
だけれど、微笑んでいてくれたらオレは嬉しくて。
いつでもこの笑顔を見ていたくて。
・・・・・・・そんなの、言い訳だ。ただ・・・なんでだか、千星を。
千星の温もりをもう少し感じてたかったんだ。
「あと5分したら、なんか甘いもん作ってくれよな」
「うん、いっぱい作ってあげる!!!」
5分後まで、こうしていよう。
今は、ただ・・・もう少しだけ。
"好き"とは違う気持ち。
ただ・・・今は。
今はこのまま02人で笑い逢いたい。
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