遠き日の言葉..

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月が綺麗だった――。 幾千もの星がソラに輝いていた。 その日、私は暗闇を歩いていた。 ソラを見上げながら。 傍には誰もいないのに 温かさを感じるのは、何故? ふと想い出す。遠い記憶。 「「ずっと傍にいるから」」 もう忘れてしまった声。 君は、誰だった――? もう、覚えてもいない 遠き日の言葉・・・。 フラフラと私は居場所を探し歩いた。 「お久しぶりです。」 「・・・どうして?」 目の前に立つ"君"は 私の生み出した幻影―? 「君が、僕を呼んだから」 「呼んでなんか」 ないよ。 そういいたかったけれど 後から後から とめどなく涙は流れて。 そんな私を君は抱き締めた。 「今まで独りにしてごめん」 「独りに、してたの?」 あの日の言葉をふと想い出す。 "ずっと傍にいるから" それは・・・嘘だった? 「傍にいましたよ。僕は。」 「なら・・・赦してあげる。」 クスッ、と自然と笑みがこぼれてくる。 君が、君の腕の中が私の居場所だったんだ。 「ありがとう・・・愛してる。」 「私も・・・」 ようやく取り戻したの。 君を、君の温もりを 忘れ去られた記憶・・・ 遠き日の言葉を。
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