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  どれくらい泣いただろう。   あたしは意を決して二人を見つめた。   現実から目を背けないように。   繭には背中を向けさせて 二人を見せないようにした。   口の中が切れたのか、お母さんの口の端から血が流れている。   それでもパパは殴るのを止めない。   お母さんも必死に抵抗しているが、やはり男と女だ。 力の差があり過ぎる。   グッ…   パパの拳に、一層力が込められたように見えた。   ―ヤバい   直感的にそう感じた。   振り上げた拳をお母さんの頬に向けてふりおろ…  
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