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「じゃあ…少しだけ、横になりますね。」
「うん…疲れ取れたら適当に帰っていいから。私が起きなかったら、そこにかけてある鍵で扉しめて帰ってね。鍵はポストから中に。…じゃあ、おやすみ。」
私は、連絡だけ伝えると、布団を頭まで被った。
一生に一度あるかないかの…すごい一日だったな…
身体は疲労と睡眠を要求しているのに、神経が冴えていて、変な気分だった。
「美香さん?」
横の床から私を呼ぶ巧の声がした。
「加村さん…助かってよかったですね。」
優しい声音に鼻の奥が熱くなった。
良かった…
本当に良かった…
母のようにならないでくれた…
私は、鳴き声がこぼれないよう必死にこらえたが、どんどん込み上げてくる熱さに涙が止められなかった。
もう…
なんでそんな風に言うのよ…
泣いてしまうじゃないか…
「…巧の馬鹿者!」
「え!?…ええ!?」
私の八つ当たりに巧がびっくりして飛び起きた気配がした。
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