素直な時間

5/10
34165人が本棚に入れています
本棚に追加
/209ページ
=================== 「馬鹿だから、馬鹿って言うの!」 いきなり美香は機嫌が悪くなったようで、布団に隠れたまま怒鳴ってくる。 眠気も吹っ飛んで、僕はわけもわからず動揺した。 「み…美香さん?」 布団に隠れて蓑虫のような状態の美香は、中で聞き取れないような声でブツブツ言っている。 「感謝してるけど!あんたなんか大馬鹿者だ!」 え? 感謝… 大馬鹿者? まったく意味が通じないんだけど。 僕何かまずいこと言った? 「え?は?美香さん?何がどうしたんですか?怒ってないで布団から出てきてください。気に触ったなら、謝りますから。」 どうしようもなくて布団の美香の顔のあたりに触れてみる。 「煩い!アンタは悪くない!」 「ど、どうしたんですか?まったく意味わかりませんけど。」 悪くないのにどうして怒ってるんだか… とにかく、表情だけでも見ないと何を考えているのかわからない。 布団をめくれないものかと、見ているといきなり枕が飛んできた。 慌てて腕で避けるが… 美香は再び布団に包まる。 「ちょ、ちょっと美香さん!一体どうしたんですか!?」
/209ページ

最初のコメントを投稿しよう!