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いきなり大馬鹿者と言われ、枕まで投げつけられて…
いつもなら、文句は面と向かって怒鳴りつけてくるのに…
様子がいつもと違うみたいだ。
「美香さん!とりあえず、布団から顔出してください。」
「…」
「美香さん!布団取りますよ。」
僕が言うと同時に美香が布団に一層包まる。
とにかく、まともに話をしなければと、強引かと思うが、ベットに乗り、顔の部分の布団を捲ろうとしたが、美香は、無言で抵抗する。
「美香さん、言わなきゃわからないですよ!」
半ば圧し掛かるようにして身体を拘束して、布団を剥ぎ取った。
すると目をウサギのように真っ赤にして潤ませている顔が出てきた。
「美香さん…泣いてるんですか?」
「……」
上から覗き込んでいる僕に顔を見られたくないのかプイっと顔を横にそらせた。
「い、いったいどうしたんです。」
「ばか…巧が…悪い…」
横を向いたまま美香はボソボソと答える。
「何がですか…?」
「…巧が優しくするから…ほっとして…涙が止まらなくなったのよ!」
うるうると潤んだ目をして、口調だけは鋭く美香が言い返してきた。
は?
…ほっとして…泣けてきたから…僕に怒ったの?
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