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ポロポロと流れる涙に誘われるように僕は美香の唇に自分の唇を重ねた。
触れるだけだったが、思わず出てしまった行動に自分でも『しまった!』と思った。
殴られるかと一瞬かまえた。
しかし、美香は殴るどころか尚更、涙を溢れさせた。
「…何すんのよ…ばかぁ…」
「…すいません。…でも、あまりにも美香さんが可愛くて。」
「可愛くなんかない!」
ふるふると小さく首を振る美香。
美香さんが…キスしても怒らない…
暴れたせいで髪も、涙で顔もぐしゃぐしゃでお世辞にも美人とは言えないけれど…
こんな可愛らしい美香さんを…見逃せないよ…
再び、そっと唇を重ねる。
抵抗は無く、そっと寄り添うように美香の体がもたれてくる。
唇を離すと美香の身体はすっぽりと僕の腕の中に納まった。
「…また……。」
「すいません。」
「…謝る気ないでしょ。笑ってるし。」
「…そうですね…ないです。」
「ばぁか…」
美香が見上げるように僕を見ていった。
「……わかりました。僕が悪いんです。美香さんを泣かせてしまって。」
「…謝るな。………ありがと…側にいてくれて…。」
そして美香さんは、身を返して僕に唇を重ねた。
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