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(今日は楽しかったなぁ。) ペダルを漕ぎながら、女性の横顔や会話を思い出す。 (…って言うか、5歳も年上だったんだなぁ。 何か、一気に距離が遠く感じる。 早く…学生を卒業したいな。) 「…はい、停まってぇ。」 (?…はぁ。) 「またッスかぁ。」 「またじゃない。 なら電気点けなさい。」 「街灯であかるいじゃん。」 「夜はちゃんと点けなさい。…危ないからね。」 「………。」 (面倒臭い警官だ。) 「照合登録確認するから。」 「この前もしたじゃん。 覚えてるでしょ?」 「一応、念の為にね。」 「………。」 (暇なだけだろ。) 「今は、何かの帰り?」 「バイト。」 「そっか。どこで?」 「アメ横。」 「ほぅ。…で今幾つ?」 「…16。」 「高校生か?」 「そうだけど。」 「そっか。…あっ、照合も終わったし、未成年なんだから、10時になる前に帰りなさい。」 「………。」 「じゃ、ちゃんと電気点けて帰るんだぞ。」 「………じゃ。」 「ほら…点けろぉ。」 走り出したオレに、後ろから警官が何か言っていた。 (未成年かぁ…。 やっぱ子供なんだよなぁ。補導される事もあるし、 どこの店も10時までしか居れない。 門限を国が決めるとは…。 守られてるんだなぁ…。) 違う現実を突き付けられたオレは落ち込んだ。 (オレは未成年で、恵利さんは大人。 しかも20代なんて想像もつかないし、 …話し掛けると迷惑かな。) オレの浮かれ気分は、何処かに消えていた。 好きな気持ちを 溜息にして集め 形にしたら この気持ち 貴女に伝わるかな? 雨降らす雲は 僕の溜息かも…
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